不快臭について 1
不快臭について書いていきたいと思います。
まず、テイスティング上感じられる不快臭を次の3つに分けたいと思います。
1、ブレタノマイセス由来などの微生物(酵母)の作り出す好ましくない香り
2、VAいわゆる揮発酸
3、硫化水素、メルカプタン系の硫化化合物系
1、は富永博士の『きいろの香り』などに詳しく書かれています。
主にブレタノマイセスと言われる酵母の一種が作り出す
エチルフェノールあるいは、エチル・グアイヤコールという物質の香りで、
一般的には“フェノレ”と称されます。
これは、酸化してもまったく飛びません。
つまりデキャンタージュは無意味です。
2、乳酸菌や酢酸菌などが造りだす主に酢酸や酢酸エチルを問題としています。
酢酸は酢の香り、酢酸エチルは除光液、ネイルリバーの香りとして表現されています。
これまたデキャンタージュは関係ありません。
3、初めてデキャンタージュが関係してきます。
いろいろな原因で作り出される香りですが、一般的には還元臭といわれるのはこの香りのことです。
1,2もごちゃ混ぜに還元臭と表現されることが多いのですが、1も2も還元臭とは全く関係がないのです。
しかも、3にしてもデキャンタージュをして効果があるのは、硫化水素でとどまっている時だけ。
メルカプトエタノール(いわゆるメルカプタン)、あるいはジスルフィドと変化していってしまえばもうアエレーションではどうすることもできません。
つまり厳密にいえば、アエレーションで原因を除去できるのは硫化水素のみなのです。
もちろん、デキャンタージュによって温度を上げたりすることでほかの香気成分が揮発して、
不快臭をおさえることはできなくないのですが、ちゃんと意味合いを理解している必要はあると思います。
たとえば、ボジョレーの自然派生産者などのワインは1,2,3すべての香りがある場合があります。
この時デキャンタージュをして提供すると、1や2の香りがむしろ目立ってしまって却ってよくなくなることがあります。
なのでこの場合は、グラスの中での酸化や時間をたたせることで酸化を促し、
ワイン自体の温度をコントロ-ルして、むしろワインの温度があまり上がらないようにすることも一つの方法だと思います。
さて、取り合えず大きく3つに分けて書いてみましたが、もちろんそのほかの香りもありますし、
ブショネはまた別に考えていきたいと思っています。
というわけで次回に続きます。