ネゴシアン・ルロワ、ドメーヌ・ルロワそしてドメーヌ・ドーブネイ、そのすべてを統括。ブルゴーニュ最高のテイスティング能力を持つといわれる、唯一無二の存在、彼女こそがラルー・ビーズ・ルロワです。
もし、彼女のワインに出会わなければ僕の人生は違ったものになっていたかもしれません。
初めて飲んだのは某ディスカウントストアーで買った97のブルゴーニュ・ルージュでした。あの頃はワインの味なんて全然わからなかったし、テイスティングなんてまるで知りませんでした。一口飲んだときのあの違和感。
ん???
明らかに今まで飲んだものと違う味わい。口に広がる香りの美しさ。
え、え、これは・・・
もう一口含むと、さらに色々な香り、たくさんの美味しい味わい、舌が戸惑う初めての体験。テイスティング能力なんて、全然無く、表現する力も無い僕は、驚き、戸惑い、悶える。
!!!!!
涙、涙・・・。目の前にフワーッと表れた慈愛に満ちた優しい目をした、高貴な美しい女性。ただ、それを感じていました。
当時僕は精神的に悩みの時期にいました。
“どう生きていけばいいのだろう・・・・”
そんなことばかり考えていました。
ブルゴーニュ97は僕に一つの光を示しました。“あちらに向うのです。”僕の人生の方向性が少しだけ見えた瞬間でした。
僕はロバート・パーカーという評論家をとても尊敬していますが、ワインを飲むときには、特に彼の点数を気にしません。参考にはするけれど、それはどちらかというと彼のワインに対する点数の方ではなくてコメントの方です。パーカーは高級ワインしかテイスティングしないので、ルロワのワインをとっても高く評価していますが、AOCブルゴーニュのような安いワインに基本的に点数はつきません。(グランクリュのような高いルロワのワインは軒並み高得点ですが・・。)
しかし、僕にとってあの当時2000円もしなかったルロワの97を越えるワインは存在しないのです。そして、それはすべてのワインを飲む人あるいはすべてのワインに起こりうる奇跡だと思います。
まずワインを飲むときは自分の好き嫌いです。自分がどれだけ感動したかです。
そして“どうしてこのワインはこんなにおいしいのだろう?”という思いはワインの知識の側面に自分を向わせるでしょう。
また“あまり美味しいとは思わないけど、何でこんな味がするのだろう?”という問いが、そのワインの背後のストーリーを知りえた時に、そのワインをもう一度見直し、いいところを見つけ、よりワインを楽しむ感性を育てていくように思います。
ソムリエになってわずか3年で、一生の目標だったマダム・ルロワとお話をすることがかなった時、僕は人生で何を得るかではなくて、何が出来るかに少しずつ気持ちが変わっていきました。ルロワさんは僕の人生の師であるかもしれません。
さて、ルロワのクロ・ド・ヴージョです。かつては一番下の修道士の畑のみを所有していたので、ある意味テロワールを超えているというか、いかに彼女が凄いのかという言い方が評価の高さをうかがわせていました。つまり、修道院の畑という一番不利な条件にあっても、もっといい畑を持っている生産者のワインよりもはるかに美味しい。それはいかに作り手の腕が素晴らしいかということを示しているわけです。ただ最近は上部の畑も持っているのでもっと凄いことになっているといえるかもしれませんね。
ではいよいよクロ・ド・ヴージョをテイスティングします。
ドメーヌ・ルロワ クロ・ド・ヴージョ 2001 です。
色合いは非常に濃い色合いです。とてもピノノワールとは思えない濃密な色、ダークルビーとでも言いたくなるような感じです。
香りは華やかで、力強く、赤い実の果実が豪華にちりばめられています。さくらんぼ、ラズベリー、イチゴのフレッシュな感じとそれらがすべて入ったジャムが添えられているような様子。土壌に由来するのでしょうか?スパイスの香りが品良く、果実とあいまって高貴に香ります。新樽を使っているのに、樽の香りが浮き立ちません。バニラやシナモンが他のスパイスの香りと共存しています。
味わいは、すべての香りが凝縮されて口の中で甘さと共に広がります。ボリュームのある酸がバランスを整え、ふくらみのある渋み、タンニンがワインのスケールの大きさを物語ります。
本当に美味しいのです。スパイスに行き過ぎず、重くなりすぎず、果実にも片寄らず、見事な調和です。かつてクロ・ド・ヴージョこそがブルゴーニュの象徴であったことが良くわかります。
今日はいっぱい書いてしまいました。
次回はヴォーヌ・ロマネですね。まったくブルゴーニュはクライマックスの連続で疲れちゃいますね(笑)。
また、読んでください。

マダムの本拠地オークセーデュレスのワインボトルです。ブートニエール、美味しかったー。