Archive for the ‘ワインを考える’ Category

題名のとおりであります。

とても勉強になります。

 

http://d.hatena.ne.jp/hirano_m/20100804/1280949021

http://d.hatena.ne.jp/hirano_m/20100804/1280949020

 

 

ところで、ブログの中でソムリエの立場での香りのとり方と調香師という立場の香りのとり方

ということが書かれていました。

 

なるほど~と思うと同時に、最近僕が思うのは

“ソムリエとしての立場”

というものを広げていく必要性です。

 

読売オンラインで

iPadのワインリスト、ソムリエは不要に?

http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/drink/wnews/20100805-OYT8T00403.htm

 

なんていう話が載っていましたが、本当に今は厳しい時代です。

 

ただ、厳しいといっても時代による変化はどんな業界にもつきものだから、

対応していかないといけないですよね。

 

 

ソムリエの立場というものをしっかりと考えないといけないと思っています。

 

ところで、そんな趣旨で書き始めた不快臭が頓挫中であります。

 

いけない、いけない。

アルザス会の記事が終わったらすぐに書かなきゃ。。。。

 

 こんばんは

 敬愛するお師匠平野さんがブログを始めました。

 真っ当なワイン論といいますか、平野さんの語るワイン考には筋があります。

 新しい情報を次から次にかぶせなくても、一貫した筋があるため決して錆つかないワイン論です。

 ぜひ、ご覧になってください。

 http://d.hatena.ne.jp/hirano_m/

  

 

 さて、今日は不快臭の続きなのですが、少し書きたいことがあります。

 

 ブレタノマイセスに由来する香りがあるとしても別にワイン自体駄目ということではない!・・・ということです。

 

 当たり前といえば当たり前なのですが、よく目にする光景で

 この香りがするからダメ

 熱を受けているからダメ

 ヒネているからダメ

 

 あくまで僕たちはテイスティングをしていて判断をするわけですが、

 テイスティングというのはあくまで人間の感覚でするもので、

 時にとってもすごいものですが

 やっぱりなんらかのいい加減さは常に付きまといます。

 だから、テイスティングの結果としての判断は

 “・・・・・だと思う”

 つまり推論にとどまるということです。

 

 まして、ブレタノマイセスに由来する香りなんていうものは、

 醸造過程で問題になる言葉なので、

 ラボなんかで調べないと本来はあまり使うべき言葉ではないかもしれません。

 

 ただ、自然派ワインの台頭であまりにもこの種の香りが増えたので、

 香りそのものへの興味に加えて、この種の香りにどうやって対応するのが良いのだろう・・・

 という風になってきました。

 

 そんなわけで、頻繁に使われるようになってきた言葉ではありますが、

 やっぱり慎重に使った方がいい言葉です。 

 

 

 また何よりも、ワインの評価は個人の趣向の問題です。

 

 熱を受けていたって美味しいと感じる人もいるし、ブショネだって気付かずに美味しく飲めるのなら、

 それはその人にとってはそれでよいのだと僕は思います。

 

 

 僕が自分の店で断固として状態にこだわるのは僕の趣向の問題であって、

 僕の店なので、ダメなものは使わないに過ぎません。

 

 所詮は自分の基準です。

 

 ブラインドテイスティングを繰り返して、どんなに精度を高めてもそれは永遠に変わりません。

 

 

 というわけで、

 まずブレタノマイセスの影響を受けているかどうかの判断は

 あくまで慎重に行われるべきであること。

 またその香りが見つかったからといって、ワインが駄目だということではない。

 ということが大切になります。

 

 

 また、テロワールを探ったり、ワインの芸術性を語ったりする場合

 確かにワインの状態は、絶対の条件となります。

 

 テロワールにせよ、セパージュの個性にしても状態が良いワインで

 ブラインドを行えば、実はとてもわかりやすいのです。

 テロワールなんてものはない・・・

 そういう言葉は本当に状態の良いワインを使ったワイン会では、

 あまりインパクトのある言葉ではないのかもしれません。

 はっきり言えば、くっきりとした違いが参加者に共感されるからです。

 

 そんなわけで、ワインというものにのめりこめば必ず状態は問題となるのですが、

 本来ワインは楽しむためにあります。

 

 ローマやエジプトなどで古くから飲まれてきたワインが何故今でも、愛され続けるのか?

 それはひとえにワインを飲むと楽しいからだと僕は思っています。

 

 あまりにも状態のことを言いすぎれば、楽しいはずのワイン会は台無しになってしまいます。

 

 ぼくは、本当はこんなことを偉そうに書けるわけがなくて、僕も何度となく

 こういうことをやってきました。

 

 まったくもって反省しないといけないです。

 

 

 今日のブログは誰かに向けて書いたものではなく、自分の反省ですね。

 すいません・・・。

 

 

 あっ、次回に続きます。 

 

 

 

 

 

 各論です。

 ブレタノマイセスについてです。

 

 ブレタノマイセスあるいはブレタノミセス

 これは、酵母の1種類なのだそうです。

 

 ワインはアルコール発酵を経てワインとなるわけですが、基本的にアルコール度数が

 上がるまでのブドウをつぶした状態のときは、さまざまな微生物が混在している状態です。

 

 アルコール度数が上がると、アルコール耐性が強いサッカロミセス・セレヴィシュエの独壇場となり、

 そのままスムーズに進み基本的に糖分が使い尽くされればフィニッシュとなります。

 (すべての糖分を使い尽くせるわけではないようです)

 

 さて、もしもここで糖分が残っていればアルコール耐性のあるさまざまな微生物が狙いをつけてやってきます。

 

 基本的にはリンゴ酸に対して起こるマロラクティック発酵でさえも、糖分が残っていると

 乳酸菌の作用があらぬ方向に進んでしまいます。

 

 

 ブレタノマイセスもそんな微生物、酵母の一つです。

 よく言われていたのは、古樽の中に住み着いていて・・・

 ということだったのですが、実際はいたるところにみられるために

 ブドウの実に付着していることも十分にあるようです。

 

 さて、そのブレタノマイセスの何が不快臭なのかといえば、作り出す物質にあります。

 

 4-エチルフェノール(4EP)、3-メチル酪酸(IVA)、4-エチルグアヤコール(4EG)

 

 

 これらを作り出すわけですが、香りの上で特に問題となるのは、4EPです。

 

 4EPは主に馬小屋、納屋、汗でぬれた鞍などと表現される香りで、結構頻繁に感じることがあります。

(ちなみにIVAは馬の香りと言われるのですが、馬に関する香りの表現が多いのは面白いですね。)

 

 そして、4EGですが、これは今までの物質とは逆にスパイシーと評されたり、薫香と評されたり

 肯定的な香りとして受け止められています。

 

 ここにブレタノマイセスの複雑な問題が潜んでいます。

 

 

 香水の世界で良い香りばかりを集めて調香するのではなく、さまざまな香りを集めることで

 複雑な得も言われぬ世界を構築するように、ワインに少しの不快臭が混ざっていることが

 素晴らしい香りの世界を作り出すこともあります。

 

 ですから、多少の不快な香りが逆に素晴らしい効果をもたらすことがあるうえに、

 ブレタノマイセスには肯定的な香り(4EG)までもが含まれているわけです。

 

 有名な醸造家がブレタノマイセスを利用して・・・なんて話がありますが、

 こういったことを計算して香りを作り出しているのかもしれません。

 

 

 次回に続きます。

 

 (参考文献 『ワインの科学』 ジェイミー・グッド著)

13
4 月

不快臭について 1

   Posted by: wine

 

 不快臭について書いていきたいと思います。

 

 まず、テイスティング上感じられる不快臭を次の3つに分けたいと思います。

 

1、ブレタノマイセス由来などの微生物(酵母)の作り出す好ましくない香り
2、VAいわゆる揮発酸
3、硫化水素、メルカプタン系の硫化化合物系

 

1、は富永博士の『きいろの香り』などに詳しく書かれています。

 主にブレタノマイセスと言われる酵母の一種が作り出す

 エチルフェノールあるいは、エチル・グアイヤコールという物質の香りで、

 一般的には“フェノレ”と称されます。

 これは、酸化してもまったく飛びません。

 つまりデキャンタージュは無意味です。

 

2、乳酸菌や酢酸菌などが造りだす主に酢酸や酢酸エチルを問題としています。

 酢酸は酢の香り、酢酸エチルは除光液、ネイルリバーの香りとして表現されています。

 これまたデキャンタージュは関係ありません。

 

3、初めてデキャンタージュが関係してきます。

 いろいろな原因で作り出される香りですが、一般的には還元臭といわれるのはこの香りのことです。

 1,2もごちゃ混ぜに還元臭と表現されることが多いのですが、1も2も還元臭とは全く関係がないのです。

 しかも、3にしてもデキャンタージュをして効果があるのは、硫化水素でとどまっている時だけ。

 メルカプトエタノール(いわゆるメルカプタン)、あるいはジスルフィドと変化していってしまえばもうアエレーションではどうすることもできません。

 

 つまり厳密にいえば、アエレーションで原因を除去できるのは硫化水素のみなのです。

 もちろん、デキャンタージュによって温度を上げたりすることでほかの香気成分が揮発して、

 不快臭をおさえることはできなくないのですが、ちゃんと意味合いを理解している必要はあると思います。

 

 たとえば、ボジョレーの自然派生産者などのワインは1,2,3すべての香りがある場合があります。

 この時デキャンタージュをして提供すると、1や2の香りがむしろ目立ってしまって却ってよくなくなることがあります。

 

 なのでこの場合は、グラスの中での酸化や時間をたたせることで酸化を促し、

 ワイン自体の温度をコントロ-ルして、むしろワインの温度があまり上がらないようにすることも一つの方法だと思います。

 

 さて、取り合えず大きく3つに分けて書いてみましたが、もちろんそのほかの香りもありますし、

 ブショネはまた別に考えていきたいと思っています。

 

 というわけで次回に続きます。

 

 

7
3 月

不快臭のことを書く前に・・・2

   Posted by: wine

 

 久しぶりの更新です。

 

 ご心配してくださったお客様。

 僕は生きています。(笑)

 

 お店もそのほかの仕事も好調であります。

 なので、大丈夫です。

 

 すいません。ご心配をおかけしました。

 

 

 いま、不快臭の続きを書く準備をしています。

 

 不快臭のことは特にソムリエにとって非常に重要だと考えていますので、

 それを書くのに、とても手を抜く気になれません。

 

 というのは、ソムリエという仕事はここ10年前に比べて、

 確かに社会的に認知されてきた様に思うのですが、

 僕はいま非常に危機に瀕している仕事のようにも思えます。

 

 

 簡単に資格を濫発するような試験制度もあまり感心しませんが

 そんなことより問題なのは、

 飲食店でワインを飲む意味が薄れてきた現状に

 あると思っています。

 

 

 インターネットの普及でワインは簡単に手に入るようになりました。

 いわゆるレアワインも以前に比べれば遥かに簡単に・・。

 

 そして何よりレストランで飲むよりネットなどで買うほうが安く買えますから、

 消費者にとっては当然安いほうがいいわけです。

 

 つまり、レストランでワインを飲む理由を見つけることが非常に難しくなってきたのです。

 

 

 もちろん、レストランならではの手の込んだ料理を食べながら飲むワインは格別だし、

 値段を安くすることで時代に対応することはできると思いますから、

 その努力はしないといけません。

 

 ですが、それはワインを扱うプロというソムリエにとって本質的な解決策ではないように思います。

 

 僕の中の答えはただ一つ。

 “家で飲むより、ワインが美味しく飲める!”

 ここに尽きると思っています。

 

 一つの答えはワインを飲む環境ですね。

 料理・サービス・内装・外装・雰囲気・お店の立地…etc

 ワインをお店で飲むことにかかわってくるすべてのことに目を向ける。

 これは、とても大切。

 永遠に満足はありえないことですから、少しずつ進歩させていかないといけません。

 

 

 2つ目は本当にワインをおいしくさせることです。

 つまりはソムリエの技術にかかわることです。

 温度コントロール、グラスのチョイスに始まり、マリアージュなど

 やることはいっぱいあるのですが、

 その中でデキャンタージュという技術は非常に重要です。

 

 デキャンタージュのする・しない、上手い・下手ということだけでなく

 デキャンタージュを何故するのか?という考え方そのものが重要なのです。

 

 デキャンタージュをすることの様々な理由の一つに

 ワインを酸化させるあるいは、還元臭(と表現されるもの)を取り除く

 ということがあります。

 

 還元臭とはまさに不快臭の一つなのですが、

 この還元臭という言葉があまりにもあいまいに使われていて、

 “デキャンタージュをして還元臭を飛ばすつもりがまったく飛ばない。”

 

 そんなことになりかねないわけです。

 

 つまり、還元臭にも酸化でどうにかなるもの(硫化水素)

 ならないもの(メルカプタンなど)があることを

 知っておかなければならないのですが、

 こういうことはあまり本などには書いてないのです。

 

 

 ときどきソムリエになりたい方のお話を聞いたりしていると、

 老婆心ながらちょっと心配になることがあります。

 

 というわけで、そんな方達の参考になれば・・・という願いもあります。

 

 上手く書けるとよいのですが・・・。